国産スノーボードのひとつに、長野県を拠点にしているGREEN.LABというブランドがあります。
あまり聞きなれないブランド名かもしれませんが、バックカントリーやゲレンデでの山遊びをメインにしているフリーライダーの中では、知る人ぞ知るといったブランドです。
グリーンラボはウッドコアに国産材しか使っていません。
山と環境を意識したモノづくり。
このブランドのこだわりのひとつであり、筆者がひかれた部分でもあります。
今回はそんなGREEN.LABスノーボードの魅力と、実際に乗ってみた感想を紹介していきます。この記事をきっかけに、グリーンラボに少しでも興味を持っていただけるとうれしいです。
GREEN.LABスノーボードの魅力あるものづくり
グリーンラボのコア材には”山喜ウッドコア”が使われています。
山喜ウッドコアのコンセプトは、豊富にある国産材を有効に使って山に潤いを与えていくというもの。
長野県で育ったカラマツ・ヒノキなどを使い、手作業でコアをくみ上げいく。
グリーンラボスノーボードは日本の山と人から生まれた、純国産スノーボードなんです。
日本には手つかずの山が数多くある。なので木を適度に伐採しなければいけない。このことは以前から知っていて、マイホームを建てるときに工務店から学びました。
日本の森林面積は国土の7割を占めますが、その多くが手をつけられず荒れた状態。
世界では森林伐採が問題視されていますが、日本の場合は逆に木を切っていかなければいけない、間伐(成長途中の木を間引く作業)が必要なのです。
森が密集した状態だと、日光が地面に届かない→地表の草木が育たない→地表がむき出しになり土砂災害が起こりやすくなる。
また地表の栄養がなくなることで木の幹は細くなり、根をしっかり張れないので風雪にも弱くなります。
肝心の日本の林業は、輸入木材が増え間伐材の販売価格が減ったことで赤字になる業者が増え、衰退していく一方。まさに日本の森は悪循環をたどっているんです。
もともと木に囲まれた家を建てたいと考えていた筆者は、少しでも日本の山を守れるのであればと思い、うちは工務店で取引のあった岐阜県産の木材だけで建てました。
そんな経緯もあって、グリーンラボ・山喜ウッドコアの活動を知ったとき、ビビッとこう思ったんです。
大好きなスノーボードに乗ることで、日本の山を守る手助けができるんだ。
筆者にとってグリーンラボは、山とひとつになることを感じさせてくれる、そんな存在のスノーボードブランドなんです。
GREEN.LABのROOTS MOUNTAINを2シーズン乗ってみた感想
乗り始めて2シーズンたちますが、今のところ欠点が見当たりません(笑)
ひとつあげるとすれば、それなりにお高いボードなのでパークに入るのは少し戸惑うことぐらいでしょうか。
いい所をひと言にすると「乗りやすくていい!」単純なんですが、ほんとにこれなんですよ。
そこで、ルーツマウンテンに乗り換えてからから、いいなと感じていることを考えてみました。
地形の壁へ抵抗なくスムーズに進入できる
以前は壁からの圧力に負けてつぶされるときもありました。けれどもルーツマウンテンに乗り換えてからは、やや突っ込みすぎかなって思っても意外に抵抗なく駆け上がれるようになりましたね。
これは、ノーズのソール形状が良いからだと思います。前脚から先端にかけてゆるく反っている形。
雪面からの抵抗を、前方から少しずつ逃がしてくれているんでしょうね。地形遊びがより一層楽しくなりましたよ。
後ろ重心でも安心して乗れる
パウダーランよりに設計されたボードって、テール部分が短いものが多いですよね。筆者はテールが短いものはちょっと不安で苦手です。
けれどもルーツマウンテンには、しっかりとテール部分に長さがあります。
フレックスもノーズは柔らかめですが、テールは中くらいの硬さがあり頼れます。
なので不意に後傾になってしまった場面でも、テールの張りとねばりで助けられることが多いですね。
ウッドコアのマイルドな乗り心地が気持ちいい
グリーンラボは補強材でカーボン素材は使わず、木材を基本にして作られています。この木が本来持つしなりやねじれの乗り味は、すごくなめらかで優しいです。
ボードを踏んだ時、圧が抜けた時の反応具合が、強・弱の2パターンだけではなくて間に中が入る感じ。
以前は、ターンの後半から切り返す時に、ボードからの強い反発でこけたりもしていました。
けれどもルーツマウンテンは優しい反応をしてくれるので、タイミングの幅が広がり体を合わせやすくなったと感じますね。
FREEBIRDとEXPLORER160の試乗レビュー
次の2本は筆者が試乗したときのレビューを紹介していきます。
FREE BIRD 160
ディレクショナルのテーパードでフルキャンバーは、今では逆に珍しい形状ではないでしょうか。イカ型のテールも魅力的ですね。
幅は細目でフレックスは硬め、ターンの切り返しの反応が早かったのでカービングが気持ちいいです。
地形での取り回しは、少し思うように動けず難しかった。なれるまでは、壁での切り返しでエッジがかかる感覚があって苦戦しましたよ。
まぁ、フリーバードはあくまでキャンバーボード。しっかり乗れて踏めてコントロールできる方にはおすすめの板だと思います。
EXPLORER 160
こちらはノーズロッカーで両足の間にはキャンバーが入っています。
ルーツマウンテンよりかは深いキャンバーなので、スピードを出したときはエクスプローラーの方が安定していました。
クセというものが見当たらず、誰が乗っても乗りやすい板だと思いますね。なので玄人さんにはクセがなさ過ぎて、少し物足りなく感じるかもです。
146・151・156サイズはダブルロッカーなので、まだ経験が浅い方、脚力のない方にはこれらのサイズが乗りやすく感じると思います。
GRASSROOTSに乗ってみたい
GREEN.LABで次に乗るならこれかな。
”GRASSROOTS 156”
グリーンラボライダーの美谷島豪さんが、HAKUBA FWQ2020でも使用されていたボードです。
ウエスト幅が274mmある、最近流行りだしてきたファットボードの部類ですね。6mmのテーバードが入っているので、太さを感じずスムーズに進めるみたいです。
先シーズンに飛騨高山のスキー場で、グラスルーツに乗っている年配の方を見かけたんですよね。未圧雪バーンにもはじかれず安定して滑っておられました。いやぁあのライディング、渋かったです!
筆者もグラスルーツに乗って、あんな風に玄人感出して滑りたいなって思いました。
まだまだ、それにはスキルが足りませんけどね(泣)…
GREEN.LABを確実に手に入れるには予約が必要です
グリーンラボスノーボードは完全受注生産です。なので確実に手に入れるためには、公式サイトまたは取扱い店で予約しなければいけません。
受注の受付も例年どおりですと、だいたい4月上旬には打ち切られます。
気になったら早めのご予約を!
試乗会もシーズン中に何回か開催されているので、SNSなどで最新情報をチェックしてくださいね。
まとめ
国産材100%でつくられたGREE.LABスノーボード。
木の特徴をいかしたウッドコアは、木のやさしさを感じるなめらかな乗り味です。
スノーボードは長年使うとへたってきて劣化を感じるものですが、グリーンラボの場合は劣化というよりかは、なじんでくる感覚のほうが強いですね。
1年目のときよりも3年目の今のほうが、フィーリングが合ってさらに乗りやすくなっている。
年月をかけてウッドコアを育てていくことで、自分もまたそのコアに育てられていく。
これはグリーンラボから受け取った苗木を育てて、楽しい山遊びを収穫する。そのように感じます。
また作り手が、どんな想いでどうやって作っているのかが見えるブランドは、どこか安心するし親しみもわいてきますね。
GREEN.LABスノーボードは、作り手と乗り手と山をつなげてくれる乗り物。
今年もこのボードに乗って、自然とのつながりや今ある環境のありがたみを感じながら、スノーボードを楽しんでいこうと思います!