今回はスノーボードでゲレンデを滑走する際のルールや、注意すべきことについて紹介していきます。
誰もが気持ちよく滑るためにも、ルールやマナーを知ってしっかり守っていきましょう。
ゲレンデでの世界標準ルールとして、国際スキー連盟(FIS)が定めている『10 FIS RULES』があります。これを全国スキー安全対策協議会がわかりやすく表記しているので、この記事ではそれをもとに紹介していきます。
ゲレンデで守るルールは、身近に経験している交通ルールと似ています。
読み進めていくうえで、コースは道路、滑走者は車にたとえてルールと照らし合わせていただくとわかりやすいです。
ゲレンデの世界標準ルール『10 FIS RULES』を知ろう
FISが定めている10項目のゲレンデルールを、身近な交通ルールと照らし合わせてみていきましょう。
1、他者を思いやる心
他人にケガさせないように、思いやり運転を心がけましょうということですね。
歩行者(初心者さん・子供さん)がいたらスピードを落としたり、距離をあけて滑走してあげましょう。
相手を挑発するような滑り方(あおり運転)は絶対にやめましょうね。
次に整備不良の車は、不具合箇所をメンテナンスしてから走りましょう。
これをボードに例えるなら、ノーズとテールのエッジをダリングすることにあたります。
ダリングとは、エッジの不要な部分(雪面から浮いている部分)をやすりで削り丸める作業のことです。エッジを丸めておくことで、接触事故を起こしたときにもケガの防止につながります。
2、スピードの出しすぎ注意
ゲレンデでも、スピード違反は事故につながる確率が最も高いです。スピードを出すことで視野は狭くなって反応が遅れますし、ましてや雪の上ですから急には止まれません。
また天候や時間の経過によっても雪面状況は変化します。昼間に溶けた雪が、夕方になると気温が下がり凍り始めておのずと滑走スピードが速くなります。。
なので、つねにご自身がコントロールできるスピードで滑走することを心がけましょう。
3、前方者が優先
信号待ちの車に後ろからぶつかった場合、どのような理由であっても前方不注意で後続車の過失が重くなりますよね。
ゲレンデでも同じで、前を滑っている人に優先権があります。なぜなら前の人は後ろが見えないからです。
前者の滑走を妨げたり接触を避けるために、あなたが思っている以上に距離をあけて滑走しましょう。
4、追い越しは間隔をあける
追い越しをするときは、横幅の間隔を十分にあけて追い越しましょう。
道路でも、横をすれすれに追い越されるとびっくりしますよね。自分では間隔をあけたつもりでも、相手にとっては近すぎると感じることもあります。
また前の人がふっと同じ方向に進路を変えてくる可能性もありますので、追い越す際の間隔は十分にあけておきましょう。
5、合流時は周りをよく見る
これは道路の脇道から本線へ合流するとき、本線が優先になるのと同じことです。
ゲレンデの例ですと、迂回コースから本流のコースに入るときにこれがあてはまります。合流する時は、本線の流れを妨げないようによく見ながら合流しましょうね。
また、コース途中から発進する時は後方確認をしてから発進しましょう。もし後続の滑走者がきていれば、通り過ぎるのを待つのが無難です。
6、コース内では止まらない
コース脇で適度に休憩することは構いませんが、長く居座ることは危険です。
これは道路わきに車を止めたとしても、路肩は道路の一部ですから絶対に安全とは言い切れないのと同じことです。
なぜ安全とは言えないのか。それは他者から死角になっている場合があるからです。
例えばカーブ付近や落差があって落ちた場所で止まっていると、周りからはあなたが見えません。
なので休憩する際は、その場所が周りから死角になっていないかチェックし長居をしないようにしましょう。
7、コースの真ん中は歩かない
道路の真ん中を歩いちゃダメだよってことですね。
よくあるシチュエーションが、こけてビーニーやゴーグルが遠くまで飛び拾いに行くときです。
そのようなとき、最短距離で取りに行きたくなるのはやまやまですが、いったんはコース脇によけてから登って、滑り降りながら拾うのがベストです。
コースを横切る時は、周囲(特に山側)をよく見ながら横断しましょう。
8、標識や表示を守る
止まれや速度制限の交通標識に従いましょうということです。
例えばスピードダウンの表示は徐行の必要性を意味していて、その先のコース幅が狭くなっていたり、下り坂にさしかかる場所で落差があって危ないですよと注意を促してくれています。
あと立ち入り禁止表示ですね。ご存じの方も多いと思いますが、スキー場の管轄エリア外で発生した事故は自己責任です。
もしエリア外で遭難やケガした場合には、捜索・救助にかかった費用は自己負担となります。
標識に書かれていることは絶対に守りましょう!
9、事故の目撃者になったら援助する
事故を目撃したら、まずケガ人を救助し救急隊を呼びましょうということです。
もしケガ人がゲレンデ中央で動けない場合、コース脇へとむやみに移動させることは避けてください。骨折など大きなケガをされているかもしません。
まずはその場で救急隊(パトロール)を呼び、状況を説明することが先決です。
連絡後は、後続の滑走者に事故現場の位置を明らかにして二次災害が起こるのを防ぎましょう。
方法としては、ケガ人より山側の位置にボードを斜面に対して横にして置くと、目印になってわかりやすいです。
救助活動が終わったら、パトロールが到着するまでケガ人に付き添ってあげましょう。
10、事故の当事者になったら連絡先を交換する
相手と事故を起こしてしまった場合、責任の有り無しに関わらずにまず警察(パトロール)を呼びお互いの連絡先を交換しておきましょう。
第三者に入ってもらうことで事故処理がスムーズに進みます。当事者同士で解決しようとすると問題が膨らむことがありますので。
相手にケガさせてしまった場合は、加入している保険会社に事故報告しましょう。
傷害保険に入っていない方はぜひ加入してください。保険に入っておくこともマナーのひとつです。
最近ではネットでも簡単に契約できますし、1日だけ加入できる保険もあるのでチェックしてくださいね
スノーボードでよくある危険なこと
ここからは私が経験してきた中で、スノーボードの滑走中に起こりやすい「危険なことあるある」を紹介していきます。
板流し
これはコース上部からボードを流してしまうことです。意外にも毎年のように見かけるんですよね。
ボードのエッジは刃物と同じなので、コース上に流してしまうと凶器と化します。人にぶつかればケガをさせることは間違いありません。
板流しを防ぐ方法には2つあります。
- リーシュコードを使う
- コース上で休憩するときはビンディングを外さない
リーシュコードとは、ビンディングと体をつないでおくヒモのことです。ヒモを脚に巻き付けておくことで、気づかないうちに体からボードが離れること防げます。
リーシュコードを使っているから安心とはいえ、コース上でやむを得ない場合以外はボードを外さないようにしましょう。
うまく取り付けられていなくて外れてしまった、なんてことも無きにしもあらずです。
死角から生まれる接触
これはかかと側のターンの時に起こりやすいですね。
かかと側のターンは、背中の方向に回るので目線が送りにくいです。そのため背中側に死角ができてしまいます。
これはレギュラースタンスとグーフィースタンスの人同士が、背中合わせで並行したときに起こりやすい接触事故です。
ボーダーとスキーヤーとの滑走ラインの違いによる接触
スキーは、斜面に対して縦に落とすラインで滑走しています。
ボードは、斜面に対して横に向かいながら滑走するラインです。
縦と横の格子状になるわけですから、交わりやすい(接触しやすい)ということです。
上記2点(死角と滑走ラインの違い)の接触事故を防ぐ方法は、コースの幅いっぱいに横切って滑らないようにすることです。
とくに幅の狭いコースでは意識して滑りましょう。
まとめ
ここまで、スノーボードでゲレンデを滑走する際のルールと注意点について紹介してきました。
長々と書いてしまいましたが、次のポイントを覚えてもらえれば問題ありません。
- 滑走ルールは交通ルールと同じ
- 他者への思いやりを持つことが大切
このポイントさえおさえておけば、楽しいスノーボードライフを送れますよ。
お互いがルールとマナーを守って、よりよいゲレンデ環境を作っていきましょう!